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プロフィール

高知こどもの図書館

Author:高知こどもの図書館
認定NPO法人が運営する、日本で初めてのこどもの本専門の図書館です。

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8月の読書会『風にのってきたメアリー・ポピンズ』

8月の読書会は参加者が少なく2人でしたが、
人が少なくても、2人いれば成立するのが読書会!!
『風にのってきたメアリー・ポピンズ』を心行くまで語りつくしたのでした。

Dさん:メアリーの人柄に魅力を感じるところまでいかなかった。
笑いを顔に浮かべるところは共感できるけど、
メアリーの子どもへのまなざしが感じられない。
メアリーは妖精なのかな。
子どものするいたずらや反抗を、子どもってそういうもんなんだよと
思いながら私は子育てしてきたけど、
メアリーはどんな風に考えているのかな。

Kさん:子どもの頃に、メアリーが使う魔法にわくわくしながら読んだのを覚えている。
今回読み直して、やっぱり笑いガスや絵の中に飛び込むシーンが魅力的だと思った。
ハトにえさをやるシーンは映画の場面がよみがえってきて、すごくノスタルジーを感じた。
でもDさんの感想を聞いて、確かにメアリーの人物描写は少ないかも、と思った。

大人になって読むのと、子どもの頃に読むのとでは、
感じ方や面白いと思うポイントが違うのかもしれませんね。

9月の読書会ももうすぐです。
9月29日(土)14:00~15:30
課題本は『怪物はささやく』(パトリック・ネス著 あすなろ書房)です。

どうぞご参加ください!!

7月のYA読書会『かはたれ』

暑い毎日が続いています。

図書館では夏休み中の子どもたちが本を借りに来てくれています。

7月の読書会、課題本は
『かはたれ~散在ガ池の河童猫』
(福音館書店 朽木祥作 山内ふじ江画)でした。

高知の河童しばてん、ではなく、八寸という名の子どもの河童のお話です。

参加者のみなさんの感想を紹介します。

Dさん:麻のお母さんが亡くなって、年齢的にも自我に目覚めるとき。
黄色いフリージアを青く描く気持ちや、「どうしてきれいって感じるの?」という疑問が、
なんとなくわかったような気がした。
既成概念を壊して、自分の気持ちを確かめる様子が丁寧に描かれている。
静かな調子で話が展開して、文章も心地よかった。

Kさん:全体の雰囲気が可愛い。ビー玉を綿で包んだような感じ。
河童の霊力が水の綺麗さで違ったり、ほんのり水木しげるのような妖怪の世界。
いい感じの雰囲気だと思った。

Sさん:プロフィールに”被爆二世”と書いていて私の親も広島で戦争を経験していたので、親しみながら読んだ。
p.17に「それは別に体の大きさを指すものでも皿の径を指すものでもなかった。」とある。
広島に”おはっすん”という、ごはんの後つきだしのように、
少しずつ料理を八寸皿に並べる郷土料理がある。
”皿の径”とはこのことだなーと思った。
物語の背景が広くて、朽木ワールドにはまっている。底に通じているものが同じだと感じた。

Aさん:お母さんを亡くして、自我に目覚める頃の麻の気持ちが細やかに描かれていて、
大人の物語だと思った。お母さんがいい人。鎌倉が舞台で、歴史のある古い雰囲気と
モダンな雰囲気が両方感じられる物語の背景にぴったりだと思った。

この物語に出てくる麻という少女は、「花がきれいって思うのは、きれいだって教えられたからかな?
私は本当に花をきれいだと思ってるの?」と自分の気持ちや感性に疑問を抱きます。
読書会でもあれこれと話が派生して、”ふるさと”という言葉からイメージする風景は
どんな風景?という話で盛り上がりました。



8月の読書会は『風にのってきたメアリー・ポピンズ』
(岩波書店 P.L.トラヴァース作 林容吉訳)です。
みなさんのご参加お待ちしております。


... Read more ▼

6月の読書会

蒸し暑い日が続いています。梅雨明けまであと少しだといいですね。
6月の読書会、課題本は

『ウィロビー・チェースのおおかみ』
(ジョーン・エイケン作 大橋善恵訳 冨山房1975)
(こだまともこ訳 冨山房2008)
でした。
新訳、旧訳が発行されているこの本、訳が違うと受ける印象も
随分違います。参加者の感想を紹介します。


Mさん:ハッピーエンドになるんだろうなぁと思いながら安心して読んだ。
タイトルからこの内容を想像していなくて、オオカミがどう関わってくるのかなと思ったけど、
家庭教師のスライカープさんや学校の先生など悪い人を指して”オオカミ”にたとえているのかも。

Oさん:実際にオオカミが出てくるのは冒頭だけで、
オオカミ=危険な存在という象徴なのかもしれない。
大団円で終結するけど、終わりの何十ページ、お医者さんと一緒にロンドンから家に帰ってから、
あれよあれよと物語が急展開。「えー?こんなに都合よくなっていいの?」と思った。

Dさん:食べ物がたくさん出てきたので書き出した。
ジェーンおばさんが病気のとき、
お医者さんが「シャンペンとバターのつかないパンを食べさせなさい」という場面や、
寒いところから帰ってきたときに飲むパターンポセットというミルク酒、
シルビアとグリムショーさんが汽車の中で食べる食べ物もおいしそう。
サイモンのほら穴では、栗の粉のケーキ、ヒースのはちみつ酒をふるまってくれるし、
ヘロンデイルで訪れたウィルダネスさんのところでは、桜の皮からとったシロップや、
赤砂糖を入れたおかゆをごちそうになる。
お昼御飯の前に読んだのでお腹がすいた。

Nさん:新訳と旧訳の二種類があって、最初の2ページを読み比べて新しい方を選んだ。
最初に読んだ方がベースになったので、あとで旧訳を読んで違和感を感じた。
新訳は「ジェーンおばさま」、旧訳は「ジェーンおばさん」と訳がかなり違っていた。
ボニーのお父さん、お母さんが実は生きているとか、子どもがわくわくするエッセンスを詰め込んでいると思った。ガチョウの中で寝るシルビア、「羊の中で寝ると治るんだ」と思った。私も寝てみたい。

Kさん:ボニーは上流階級のお嬢様で最初は何もできないけど、学校に送り込まれて
過酷な生活をすることで、縫物や洗濯、洗い物など家の仕事が何でもできるようになっていく。
スライカープ先生やブリスケット夫人はひどい人たちだけど、その仕打ちを逆手にとって
成長していく姿は、イギリスの上流階級の人たちに投げかけるものがあるのかなと思った。


物語がテンポよくすらすらと展開するので、ちょっと物足りない大人と
子どもごころで楽しく読んだ人がいたようです。

さて、次回の読書会は

2012年7月28日(土)14:00~
『かはたれ~散在ガ池の河童猫』
(朽木祥作 山内ふじ江画 福音館書店
です。
夏休みまっ盛り、図書館に涼みに来て下さい。

『ピース・ヴィレッジ』

梅雨入りし、夏に向かって気温もだんだん上がってきました。

図書館では時折入ってくる風が気持ちいいです。

5月の読書会、課題本は
『ピース・ヴィレッジ』(岩瀬成子著 偕成社でした。

今回は課題本に加えて、作品の背景や作者についても掘り下げてみようということで

参加者の方が調べてきてくれました。

物語は山口県岩国市の基地がある町が舞台。

小学生の楓ちゃんが見た、町の日常と周りの人の人間模様が描かれた作品です。

みなさんの感想を紹介します。


Oさん:岩瀬成子のデビュー作『朝はだんだんみえてくる』(1977年 理論社)を読みなおした。
主人公の奈々は中三なのにもうタバコ、ビール、ジャズ喫茶にも行く。
今そういう若者は珍しくないかもしれないけど、
当時この作品を読んだときは「本当にこんな子いるの?」と思った。
奈々が入り浸っていた反戦喫茶は実在していて、喫茶店に武器・弾薬を隠し持っていると言われたり、
裁判を起こされたこともある場所。
岩瀬成子や奈々ちゃんという人も実際に出入りしていて
『ほびっと 戦争をとめた喫茶店』(中川六平著 講談社 2009)という本の中に出てくる。
ピース・ヴィレッジは本当にあるかわからないけど、喫茶店ほびっとが継続していたら
こんな風になっているのかな。
それとも、実際には新しくそういう場所ができているかもしれない。
特殊な状況で暮らす人がたんたんと書かれていて、穏やかに物語が流れる。
岩瀬さんは岩国市育ちで今も在住。今年沖縄が返還されて40年。
基地があるところで生活する子どもたちはもっと大変だけど、子どもからの視点から書かれた本がない。
それは原発ともつながることだと思う。そういう意味で問題提起のある作品。

Mさん:仕事で沖縄に3~4回行ったことがあり、基地の多さに驚いた。
普天間の基地は、一般人が所有している土地を政府が借りて、それをアメリカに貸している。
読みながら沖縄を思い出した作品だった。
この作品は色んな立場の人を許容しながら書いていると思った。
誰かのあとについて真似することしかできなかった楓ちゃんが、
自分のしたいことを自分でやってみようとする成長の場面が好き。

Nさん:今の生活と舞台がかけ離れていて、内容が難しくて作品に入りづらかった。
基地のことをニュースで見ても関心を持てなくて人ごとと捉えてしまう。
自分で勉強しないと入っていけないのかなと思った。
この人たちにとっての問題と自分にとっての問題が違うと感じた。

Dさん:私も『朝はだんだん見えてくる』を読みなおした。
ジャズの音やオートバイの音、ワルツを踊る場面もあって、音がいっぱい出てくる作品。
基地がにぎやかな時代だから。大人に反発する元気のいい作品。
それに対して『ビース・ヴィレッジ』は基地がさびれている今が描かれていて
とても静かな印象を受けた。
作者は女の子が主人公の作品をよく書いている。
周りの人を見ながら自分でも体感しながら成長していく。
作者が自分の子どもの頃を大切に見直してた人なのかもしれないなと思った。

Kさん:私も『ピース・ヴィレッジ』と『朝はだんだん見えてくる』を読んで、
作品を読みながら沖縄のことを思った。
米兵と沖縄の人が結婚して生まれた子どももまた差別されるというのを聞いたことがある。
難しい問題だけど、基地も原発もいらないと言える立場でいたい。
『朝はだんだん見えてくる』は時代背景がよくわかる。
バミューダ・パンツやパンタロンなど、今は使わない言葉が出てきて面白かった。
場面が映画のシーンのように浮かんでくる描写だった。
『ピース・ヴィレッジ』は楓ちゃんが大人っぽいなと感じた。
小学生なのに周りを客観的にみていて、これはあまりにも大人びて書かれていると思った。



などなど、読書会初参加の方もいて、今回は楽しく真面目に盛り上がった読書会でした。
『ピース・ヴィレッジ』、『朝はだんだん見えてくる』ともぜひ読んでみてください。


次回読書会は

6月30日(土)14:00~
『ウィロビー・チェースのおおかみ』ジョーン・エイキン作 冨山房

です。どうぞお楽しみに。

4月の読書会『ムーミンパパの思い出』

GW真っただ中、図書館の近くもお城や日曜市に県外の方がたくさん来ているようです。

ぜひぜひ図書館にも足をのばしてほしいなーと思っています。


4月の読書会、課題本は『ムーミンパパの思い出』
トーべ・ヤンソン作絵 小野寺百合子訳(講談社)
でした。

参加者は4人、そして今回初めて参加してくれた方もいらっしゃいました!!

ムーミンはキャラクターでおなじみですが、本を読んだことのある人は

案外少ないかも…と思い、課題本にしました。

このシリーズは全8巻+別巻のシリーズでそれぞれ訳者が違うので、作品によって

受ける印象が全然違うと思います。

そんなムーミン、参加者からの感想を紹介します。

Nさん:『ムーミン谷の彗星』『たのしいムーミン一家』『小さなトロールと大きな洪水』
を読んで、この巻は読みやすいしユーモアがあるなと思った。
海辺を歩いて散策した人にしか書けない文章だと思う。
海の木陰でゆっくりしながら読んでみたい。

Tさん:景色の描写がきれいで、フレドリクソンとパパが語り合う夕暮れのシーンは目に見えるようだった。
ママが海に流されてくるシーンは嵐で大荒れの天気だけど、すごくきれいだと思った。
ムーミンママがしっぽでおしろいをはたく挿絵も楽しい。

Sさん:アニメを見て本を読んだ。
アニメのナレーションを頭に浮かべながら読むことができた。
プロローグのパパが自分にそっくり。

Kさん:パパの回顧録として書かれているから、物語のトーンが単調で、
その単調さが心地よかった。絵の雰囲気も物語とぴったりあっていて、
不思議な世界観だった。


独特な物語なのでどんな感想が聞けるのかなーと思っていましたが、

みなさん楽しんで読んでもらえたようです。


来月の読書会は…5月26日(土)14:00~

課題本は『ピース・ヴィレッジ』岩瀬成子(偕成社)です。

みなさんのご参加お待ちしております。
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