春らしい日が続いています。
図書館の木には、浅い緑の小さな葉がたくさんつきはじめました。
そんな3月の読書会、課題本は『鬼の橋』伊藤遊著(福音館書店)でした。
一見手に取りづらそうな表紙なのですが、
読んでみるとこれが読みやすく、そして面白い本なのです。
舞台は平安時代の京都、小野篁(おののたかむら)という少年はあるきっかけで
井戸から冥界へと迷い込みます。
そこは現世とあの世を結ぶ橋がかかり、橋の下には
顔を映すと過去の自分の過ちを映す川が流れています。
周りには人を喰おうとする鬼がうろうろして、生きた人間が迷い込んではいけない場所。
悩みを抱える篁は、ことあるごとにその場所へ行くようになります。
そして篁は、五条の橋で父親を亡くした阿子那という少女と、
亡くなった彼女の父親が建てた橋を、台風の洪水から
守ろうとする鬼のような人物、非天丸と出会います。
彼らとの出会いを通し、篁は青年への一歩を踏み出します。
参加者は7人とたくさんの方が参加してくださいました。
(なんとはるばる土佐清水から来て下さった方も!!)
参加者の方が作ってきてくださった、
12月の読書会課題本『聖夜』に出てくるドイツの揚げ菓子、
Quarkbällchen クヴァーク・ベルヒェンをいただきながら
今回もわいわいと盛り上がりました。みなさんの感想を少し、ご紹介します。
Hさん:京都に住んでいたことがあったので、雰囲気が感じられた。
篁の葛藤は、思春期に必ず通らなければならないところ。
Nさん:光が火しかない時代の昼と夜、あの世とこの世、陰と陽の対比が
よく出ていた。続編がぜひ読みたい。
Mさん:阿子那の生命力がすごい。みんなが阿子那に出会うことによって、
幸せになっていく。
Dさん:主人公は、小野篁という実在の人物。百人一首の歌人でもあり遣唐副使も務めた役人の
篁にはいろんな逸話がある。時代講釈がしっかりしてて楽しく読める作品だった。
太田大八さんの絵も大好き。
Sさん:坂上田村麻呂将軍は、いつも感情をむき出しにしている。
かつての仲間が先に向こうの世界に行けるのに、自分だけ橋を渡れずに可哀想。
Oさん:物語の主人公は橋だと思った。人と人をつなぐ橋、この世とあの世を結ぶ橋。
ファンタジーと言われているけど、平安時代には鬼も地獄もリアルにありそう。
Kさん:牛鬼や馬鬼の絵がとっても生々しくていい。
酔っ払って冥界に迷い込んだ役人と、牛鬼と馬鬼のかけあいがまぬけで滑稽だった。
今回は大人の参加者が多く、かなり濃厚な読書会となりました。
こんな読書会も、たまにはありですね♪
次回は4月28日(土)14:00~
課題本は『ムーミンパパの思い出』
(トーべ・ヤンソン作絵、小野寺百合子訳 講談社)です。
みなさんのご参加、お待ちしています。