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高知こどもの図書館

Author:高知こどもの図書館
認定NPO法人が運営する、日本で初めてのこどもの本専門の図書館です。

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7月のYA読書会『かはたれ』

暑い毎日が続いています。

図書館では夏休み中の子どもたちが本を借りに来てくれています。

7月の読書会、課題本は
『かはたれ~散在ガ池の河童猫』
(福音館書店 朽木祥作 山内ふじ江画)でした。

高知の河童しばてん、ではなく、八寸という名の子どもの河童のお話です。

参加者のみなさんの感想を紹介します。

Dさん:麻のお母さんが亡くなって、年齢的にも自我に目覚めるとき。
黄色いフリージアを青く描く気持ちや、「どうしてきれいって感じるの?」という疑問が、
なんとなくわかったような気がした。
既成概念を壊して、自分の気持ちを確かめる様子が丁寧に描かれている。
静かな調子で話が展開して、文章も心地よかった。

Kさん:全体の雰囲気が可愛い。ビー玉を綿で包んだような感じ。
河童の霊力が水の綺麗さで違ったり、ほんのり水木しげるのような妖怪の世界。
いい感じの雰囲気だと思った。

Sさん:プロフィールに”被爆二世”と書いていて私の親も広島で戦争を経験していたので、親しみながら読んだ。
p.17に「それは別に体の大きさを指すものでも皿の径を指すものでもなかった。」とある。
広島に”おはっすん”という、ごはんの後つきだしのように、
少しずつ料理を八寸皿に並べる郷土料理がある。
”皿の径”とはこのことだなーと思った。
物語の背景が広くて、朽木ワールドにはまっている。底に通じているものが同じだと感じた。

Aさん:お母さんを亡くして、自我に目覚める頃の麻の気持ちが細やかに描かれていて、
大人の物語だと思った。お母さんがいい人。鎌倉が舞台で、歴史のある古い雰囲気と
モダンな雰囲気が両方感じられる物語の背景にぴったりだと思った。

この物語に出てくる麻という少女は、「花がきれいって思うのは、きれいだって教えられたからかな?
私は本当に花をきれいだと思ってるの?」と自分の気持ちや感性に疑問を抱きます。
読書会でもあれこれと話が派生して、”ふるさと”という言葉からイメージする風景は
どんな風景?という話で盛り上がりました。



8月の読書会は『風にのってきたメアリー・ポピンズ』
(岩波書店 P.L.トラヴァース作 林容吉訳)です。
みなさんのご参加お待ちしております。


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Comment

朽木祥著『八月の光』を読んで、広島で直接の被爆体験はなくても、それを文字にして語りかけることで次の世代に繋いで行ける著者の力に深い感動を覚えました。過去のことではなく、今生きている人たち、未来に生きる人たちへのメッセージがしっかり伝わります。
『たそかれ』も河童の八寸が出て来ます。目の前で人が亡くなったとき、助けてあげられなかった自分を責めるのではなく、その人に助けてもらったから自分が生きられたと考える、という一節があり、自分自身をずっと責め続けている多くの人たちに伝えたいと思いました。
朽木祥著『オン・ザ・ライン』もぜひ。
2012/08/05 09:35 | URL | #- [ Edit ]
『八月の光』は、原爆の悲惨さを伝える今までの物語とは違った印象を受けました。それが何かというと、戦争を直接体験した人たちの話ではなく、次世代を生きる著者の言葉だからなのかなと。経験していないことを伝えるためには想像力が必要です。若い世代に伝えていくために、想像することをやめてはいけないなと感じます。
2012/08/06 12:35 | URL | 高知こどもの図書館 #- [ Edit ]
「おはっすん」追記:読書会で話したのは、京料理などの献立。広島県の郷土料理は、里芋、人参、こんにゃく、椎茸などの煮物で、法事の時などに作る料理です。実家ではお精進で、蓋の付いた八寸の器(漆器だったり、皿だったり)に入れて供していました。
朽木祥の作品を読むと、出てくる詩、物語、絵、戯曲などを調べたくなります。『かはたれ』ではキーツの『ギリシャの壺に寄せる詩』、『ロミオとジュリエット』などを読み直しました。一つの作品が他の作品へと誘う…次はどんな作品が生まれてくるのか、楽しみな作家ですね。
2012/08/13 09:51 | URL | #- [ Edit ]
「おはっすん」のことは、『かはたれ』で一番印象に残った話でした。
こんな話ができるのはまさに読書会の醍醐味。
一つの作品から次の作品へつながっていく、そんな作品がもっと増えていくといいですね。
2012/08/18 13:53 | URL | 高知こどもの図書館 #- [ Edit ]

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